叔父さんが他界した

叔父おじさんが他界した。

叔母おばさんと従兄弟いとこが、すぐに連絡をくれたので、お通夜つやも告別式こくべつしきも無事に立ち会うことができた。

読経中どきょうちゅう、祖父母や先に亡くなっている私の母(叔父の姉)に

(迎えに行ってあげてね)

とか、彼岸までの道中の無事を祈ったりしていたのだが、棺ひつぎに花を入れさせてもらって、実際に叔父さんの顔を見たときに出てきた言葉は

「ありがとう」

だった。

何に対しての「ありがとう」なのか、具体的なことがその時頭の中にあったわけでは無いのだけれど、とにかく「ありがとう」しか出てこなかった。

母方ははかたの親戚筋しんせきすじとは、祖父母や母の法事以外であまり行き来する事はなく、私個人で訪ねることもそうはなかった。

それが、5年位前からちょこちょこ顔を出すようになった。
きっかけは、確か叔父の病気を知ってからだと思う。

ものすごく久しぶりに、いきなり訪れた私に、叔父も叔母も「よっしゃ、よっしゃ」とすごく歓迎かんげいしてくれて、ほっとしたのをよく覚えている。

今思えば、男子しかいなかった従兄弟たちの中では貴重品きちょうひん(女子)だった私は、子供の頃からすごく可愛がってもらい、叔父は私の奨学金しょうがくきんの保証人にもなってくれた。

何の「ありがとう」なのか、今わかった気がする。

叔父さん、愛してくれてありがとう。