岡田斗司夫さんおすすめ!「億男」を読んでみた

岡田斗司夫さんがYouTubeでおすすめしていた「億男」を読んでみました。

宝くじで3億円を当てた図書館司書ししょのお話なのですが、非常に示唆しさんだ興味深い内容で、「お金の正体って何なんだろう?」と、つくづく考えさせられました。

以前の記事で、

読み終わったら、またレビュー書きますね🙂

とお約束したので、たさせていただきます(笑)

著:川村 元気
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億男 (文春文庫)

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一男の世界

 宝くじ当せん者たちのその後の悲惨な人生

 いきなり最上段に表示されたページタイトル。おののきながらクリックを繰り返すと、修羅場、バレる、家庭崩壊、失業、詐欺、失踪、死亡とネガティブワードが並ぶ。宝くじの検索が導いた先には、悲劇が列をなしていた。

(中略)

「うまくお金を使う事は、それを稼ぐのと同じくらい難しい」
 世界一の金持ちになったとき、ビル・ゲイツは言った。その言葉が真実であることを証明するかのように、インターネットの中には世界中の宝くじ高額当せん者の悲劇が溢れていた。

億男/川村元気著 文春文庫より

引用いんようの中にあるように、「高額当せん者の悲劇」は、世間でも結構認識にんしきされていて、実際私も、エッセイ集「まがりまっすぐ」の中で、似たようなことにれています。

著:芹沢 茜
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まがりまっすぐ ~生き方が少しラクになる、人生の小ネタ集~

ビル・ゲイツの言葉にあるように、大金を扱うには、それなりのうつわが必要であるというのは、疑いようのない真実です。

ただ、この真実(大金を扱う器について)は別として、「高額当せん者の悲劇」という事実に関しては、次の章でひっくり返されることとなります😮

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九十九の金

一男は大学時代の親友で、今や「大金持ち」になっている九十九つくもに相談するため、15年ぶりに彼をたずねます。

「君は、お、お金が好きかい?」
「もちろん好きさ。嫌いな人なんていないだろう」
「お金持ちになりたかった?」
「なりたくなかったと言ったら、嘘になる」
「じゃあ聞くけど。君は一万円札の大きさを知っているかい?」

(中略)

「ごめん。九十九、分からないよ」
「縦76ミリ、横160ミリさ。重さは何グラムか知っているかい?」
「……分からない」
「1グラム。ちなみに一円玉も1グラム。一万円札と一円玉は同じ重さってことだ」

(中略)

「君はお金を悪者にしてきたんだ。お金を持つと不幸になる。お金で買えない幸せがある。そんな言い訳をして、逃げ回ってきたんだ。だから君は、お金の大きさも、重さも、何も知らない。好きでもないものが、向こうからやってくるはずがない。君が金持ちにならなかったのは、才能がなかったからでも、運がなかったからでもなく、金持ちになるためにするべき、あたりまえのことを何もしてこなかったからなんだ」

億男/川村元気著 文春文庫より

さらに九十九は、福沢諭吉ふくざわゆきち「学問のすゝめ」について語ります。

教科書に出てくる「天は人の上に人をつくらず人の下に人を造らずといへり」という冒頭ぼうとうの一節だけが有名なため、大半の人はこの文章を「人類皆平等」みたいにとらえていますが、実は違います。

その後の文章を読むと、「人学ばざれば智なし、智なき者は愚人ぐじんなり」という言葉が記され、「されば賢人けんじんと愚人との別は学ぶと学ばざるとによりてできるものなり」という下の句とも言える一文があります。

まさに「学問のすゝめ」なのです。

「身分の貴賤上下は生まれながらのものではなく、学問の有無によるということさ。だから、僕はお金のことを隅から隅まで勉強した。お金に振り回されないために稼いだ。お金のことを何も知らないくせに金持ちになるなんて、一万円札になる人が許すはずがないのさ」

億男/川村元気著 文春文庫より

前述の「高額当せん者」の事実についてもくつがえされます。

「分かった。僕はあまりにもお金のことを知らなかった。そうだとして、これからいったい何をすればいいんだ……つまりは僕の三億円を、どうすればいい?」
「……君は調べたのか?」
「宝くじに当たった人の人生についてか? それなら調べた。みんな悲惨な末路だった。だから混乱した。ここにやってきた」
 違う、と呟くと九十九はふたたび深いため息をつき、パソコンのキーボードを楽器を弾くようにカタカタと叩いた。
「やはり君はお金のことを何も知らない。宝くじのことも。ネットで調べた薄っぺらい情報が君のすべてだ。まず、君は一億円以上の宝くじの当せん者が年間何人いるか知っているのかい?」

(中略)

「一億円以上の宝くじの当せん者は、年間五百人もいる。この十年だけで五千人以上だ。君みたいな人はたくさんいる。どうして、自分だけに特別なことが起きたかのように思えるんだ? ネットの中の不幸な話なんて、嫉妬でおかしくなった人たちが一部の悲惨な例を脚色して声高に叫んでいるだけだ。繰り返すよ一男くん。当せん者はこの十年で五千人もいるんだ。君はまったくもって特別じゃない」

億男/川村元気著 文春文庫より

九十九は五千人の「高額当せん者」の中で、悲劇的な人生を送ったのは一部の人であり、その他の多くの人は、ごくあたりまえに当せん金を受け取って、普通に暮らしていると話します。

「一男くん。君は、少し調べるだけで分かるあたりまえのルールを知ろうともしなかった。お金の世界では、このルールを理解しているものが富み、知らない人間が貧しくなっていく。ポーカーやチェスと変わらない。そこには、誰にでも平等なルールがあるだけなんだよ。そのルールを理解し、勝てるまで学び、考えて行動する。それだけが勝敗を分けている」

億男/川村元気著 文春文庫より

つまり、「ルールは万人ばんにんにとって平等」で、そのルールを知っているからこそ、本当の大金持ちは、一度とみを失ってもいくらでも挽回ばんかいできるのです。

後日、一男は3億円を旅行カバンにめて、ふたたび九十九のもとを訪れます。

九十九は「そのお金を使ってみよう」と電話をかけて、寿司職人、ソムリエ、キャバ嬢、芸能人と、次々と怪しい人間たちを呼び寄せ、絵に描いたような「どんちゃん騒ぎ」を始めます。

「ひとつだけ、分かったことがあるんだ。人間には自分の意思ではコントロールできないことが、みっつある」
「なんだよ?」
「死ぬことと、恋することと、あとお金だ。でも……お金だけが違うんだ」
「どういう意味だ?」
「お金だけはとにかく違う。……その理由はこんど話すよ」

億男/川村元気著 文春文庫より

翌朝、一男が目を覚ますと、九十九と3億円が入った旅行カバンは消えていました。

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十和子、百瀬、千住、万佐子

九十九と失った3億円、そして「お金と幸せの答え」を求めて、一男は次々と九十九の知人をたずねていき、様々さまざまな現実をけられていきます。

  • お金と愛(十和子)
  • お金と恐怖、そしてあたりまえのこと(百瀬)
  • お金と贖罪しょくざい(千住)
  • お金と欲(万佐子)
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まとめ

九十九は、高額当せん者の多くが、ごくあたりまえに当せん金を受け取り、何も変わらない(もしくは少しだけ豊かな)生活を送っていると言います。

しかしながら、この本に出てくる億万長者たち(十和子、百瀬、千住)は、

結局、誰も幸せになっていないよね。

と、私には思えます。

果たして、著者ちょしゃの川村元気さんは「お金と幸せの答え」を見つけることができたのでしょうか?

そんな機会が訪れるとはまあ思えませんが、もし川村先生にお会いできることがあれば、ぜひおうかがいしてみたいと思います😌

億男/川村元気著 文春文庫

著:川村 元気
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