「どれだけ考えても、伝わらなければ、考えたことにならない。」
安達裕哉さんの『頭のいい人が話す前に考えていること』は、「読み返さなくていい本」を目指したユニークな作品です。話すたびに頭が良くなるための実践的なアプローチを、コンサルタントとしての豊富な経験を基に紹介しています。本書を通じて、話す力を磨き、日々のコミュニケーションをより効果的にする方法を探ってみましょう。
どれだけ考えても、伝わらなければ、考えたことにならない。
でも、「話し方・伝え方」だけでは、人の心は動かせない。
頭のいい人が話す前に考えていること/安達裕哉著 ダイヤモンド社より
じゃあ、どうすればいい?
結局、センス?
才能?
生まれ持った頭のよさ?
いえ。必要なのは、
話す前に
立ち止まる勇気だ。
この本の「そで」に書かれている言葉です。
(「そで」というのは、本のカバーや帯をかける時、表紙の内側に折り込む部分のことです。)
この本の目指しているところは「読み返さなくていい本」だそうです。
普通は
「何度も読み返したくなる本」がいい本なのでは?
と思いますよね?
しかし、本書は、読み返すことを想定していません。むしろ、読み返さなくていい本を目指しました。
頭のいい人が話す前に考えていること/安達裕哉著 ダイヤモンド社より
この本には、巻頭に話すたびに頭がよくなるシートというものが付いています。
このシートを切り取り、空欄を埋めるとこの本のまとめになります。
このシートに書かれていることを1つでもいいので、意識することで、
明日から、話すたびに頭が良くなります。
だそうです(笑)
この本には、度々「ちゃんと」という言葉が出てきます。
「ちゃんと」考える。
「ちゃんと」聞く。
自分自身、特に意識しなくとも「できているつもり」だったことが、実際には「ちゃんと」できていないことに気づかされる場面が多々あり、まさに「目からウロコ」でした (^^ゞ
今回は、コンサルのプロである安達裕哉さんが考案した「頭のいい人になるためのプログラム」な一冊をご紹介します (^-^)
スポンサーリンク頭が悪くなる瞬間、頭がよくなる時間
ヤクザ映画で死ぬ人の共通点
著者の安達さんは、北野武監督の映画『アウトレイジ』を観て、殺されてしまう人間に共通点があることに気が付きました。
さて、それは何でしょう?
答えは”感情的な人”です。
感情的になった人間が死に、冷静な人間は生き残っていました。感情的になった人間は、さんざん利用されたあげく、みんな殺されてしまったのです。
北野武監督自身は、雑誌のインタビューで「拳銃を使った奴は大抵、死に至るっていうポリシーは持ってるよ」と述べているのですが、私はこの映画から、感情的になったら、その時点で負けと言うメッセージを受け取りました。そして、それは私がコンサルで学んだ「最重要事項」のひとつでもあります。
頭のいい人が話す前に考えていること/安達裕哉著 ダイヤモンド社より
「怒っているとき」は、頭が悪くなる
サセックス大学教授の心理学者、スチュアート・サザーランドは著書『不合理誰も誰もまぬがれない思考の罠100』の中でこう述べます。
怒りや恐怖など強い感情にとらわれると、愚かな行動に走りやすい
要するに、怒っているときは、誰でも頭が悪くなるのです。
怒っているときに下す判断は、まず、間違っていると考えた方がいいでしょう。(中略)
つまり、“話す前にちゃんと考える”ということは、感情に任せて反応するのではなく、冷静になることだと言い換えられます。
頭のいい人が話す前に考えていること/安達裕哉著 ダイヤモンド社より
年齢を重ねて、ずいぶんマシにはなりましたが、私は基本「すぐ言い返す」頭の悪いタイプの人間でした(笑)
ヘタに頭の回転が早いだけに、すぐに反論を思いついてしまうんですよね (^^;
すぐ反応してしまうと、確かに、その後ロクなことにならなかった黒歴史が結構あります (^^ゞ
この本の中にも書かれていますが、怒りが生まれてから理性が働くのに6秒かかると言われているそうです。
つまり、怒っているときは、人間の頭が悪くなる瞬間であり、冷静になって思考力を回復する、つまり頭を良くする時間に6秒必要となるわけです。
頭のいい人が話す前に考えていること/安達裕哉著 ダイヤモンド社より
何かを言いたくなったときほど、逆に口を閉じる。
頭のいい人が話す前に考えていること/安達裕哉著 ダイヤモンド社より
“とにかく反応しない”ということが大事なのです。
黄金法則 その1
とにかく反応するな
頭のよさを決めるのは「だれ」だ?
頭のよさは「だれ」が決めるのでしょうか?
自分……ではないですよね。自分で自分のことを”頭がいい”と決めていたら、それはちょっと頭がいいとは言えない気がします。頭のいい人は自分で「私は頭がいいんだ!」と言わないはずです。
では、頭のよさは自分ではなくだれが求めるのか。
頭のいい人が話す前に考えていること/安達裕哉著 ダイヤモンド社より
そう、他者です。
ごもっとも
いったん”頭のよさは他人が決める”と考えるとラク
「頭のよさは他人が決める」という話をすると、「他者の目を意識せずにありのままの自分でいたい」と言う人もいます。
(中略)
この考えに対して反対するつもりは全くありません。とくに、精神的に辛い状況にある人は、積極的に休み、自分を大切にする必要があります。
頭のいい人が話す前に考えていること/安達裕哉著 ダイヤモンド社より
ただ、こういった”自分の考え”を大事にする世の中だからこそ、”頭のよさは他人が決める”という前提に立って考えることがより効果を発揮すると思っています。
いったん、とことん相手の立場に立って考える癖をつけ、”頭のいい人”になればとてもラクです。
確かに、恋愛でも仕事でも何でもそうですよね。
これが私よ! ありのままの私を見て!
こう言っているだけでは、よほど運が良くない限り意中の人を射止めることなどできませんし、契約が取れることもないでしょうね。
人は頭のいい人の話を聞こうとします。頭のいい人がすすめるものをほしくなります。頭のいい人と認められれば、自分のやりたいことも通りやすくなるのです。
頭のいい人が話す前に考えていること/安達裕哉著 ダイヤモンド社より
“頭のよさは他人が決める”というのは、社会的動物である私たち人間が、結果的に自分らしく生きるために必要不可欠な考え方なのです。
頭のいい人が話す前に考えていること/安達裕哉著 ダイヤモンド社より
黄金法則 その2
頭のよさは、他人が決める
ちゃんと考える前に、ちゃんと聞こう
たしかに、音声は勝手に聞こえてくるので、”聞くだけ”ならだれでもできます。
頭のいい人が話す前に考えていること/安達裕哉著 ダイヤモンド社より
しかし、話をちゃんと聞く事は簡単ではありません。”聞く”と”ちゃんと聞く”の間には大きな溝があるのです。
「ちゃんと聞く」、実は、私に一番刺さったところはココです _φ(・_・
50代に差し掛かった頃でしょうか? 社内の人から
芹沢さん、時々人の話聞いてないよね?
と言われたことがあります。
すみません
と言いながら、内心
いや、話聞いてないとか言うけど、そんな話した?
と不満だったのですが、謎が解けました。
たしかに私は話を聞いてはいたのですが、それは音声が流れていただけで、収録されていなかったのです (^^ゞ
これが、「ちゃんと聞けていない」状態です(笑)
「ちゃんと聞く」のは、意外に難しいのです (^-^)
エラソーに言うなって? そうですね、すみません σ^_^;
自分の理解できたことだけを切り取る人
“話を聞けない人”は、話を聞こうとしない人ではありません。話を聞いているのに、聞けない人です。彼らは「自分の認識できたこと」だけを切り取って、話を聞いているのです。
頭のいい人が話す前に考えていること/安達裕哉著 ダイヤモンド社より
会話ではありませんが、仕事上のメールのやり取りで似たようなことがありました。
取引先の社長さんから、
従業員さんに、初心者向けの金融リテラシー研修をしてほしい
という依頼がありました。
やった事はなかったので、資料もイチから作らなければいけないし、少し手間はかかりますが、
初心者向けなら、まぁできるでしょう
ということで、引き受けることにしました。
ところが、近々私の会社に入る予定だった監査で、提出する資料の追加を言われ、急遽対応しなければならなくなりました。
取引先の社長さんには、研修資料とレジュメが出来次第、連絡してセミナーを開催する予定だったのですが、メールで事情を説明して「少しお時間をいただきたい」旨をお知らせし、
とりあえず、途中までできている資料とレジュメをチェックしてもらおう
と、添付しました。
だが、しかし、返信は以下のようなものでした (*_*)
いつもお世話になっております
ありがとうございます。
昼休み12時20分~50分でお願いいたします。
ご都合の良い日はあるでしょうか。
予め資料があれば印刷して配っておきますし、ホワイトボードも準備しておきます。
なんと! 私の送ったメールの
もう少しお時間いただいてもよろしいでしょうか?
が、完全に社長さんのインプットから抜け落ちてしまっています!
幸い、この本を読んでいる最中のことだったので、どういう状態なのかは容易に想像がつきました。
気を取り直し、日時やプリントアウトする資料の種類など、大事な箇所はすべて太字にして返信し、後日無事にセミナーを開催し、社長さんにも喜んでいただくことができました (^-^)
この本を読んでいなかったら、何が起こっているのか全く理解できず、パニックになっていたでしょうね…。
ホント、助かりました!
他人が話しているときに、自分が話すことを考えていないか
人がだれかの話を「聞く」ときに考えていることは、以下の2種類に分かれます。
1 自分の言いたいことを考えながら聞く
頭のいい人が話す前に考えていること/安達裕哉著 ダイヤモンド社より
2 相手の言いたいことを考えながら聞く
頭の良い人が話を聞くときに、考えていること
自分の言いたいことを考えながら聞く
人の話を聞いているときに、「反論」で頭がいっぱいになってしまうなど、次に自分が話すことで頭がいっぱいになっている人がいます。これでは人の話をちゃんと聞くことはできません。
このような人は「人の話を否定し、自分が勝った気になる」ために人の話を聞いています。人間としてはまだ成熟していない、子供の態度といっていいでしょう。あるいは、「うまいことを言おう、悩みを解決してやろう」と思いながら、聞いている人もいます。
反論に比べるとマシですが、こういう人は”教えてやろう”と言う気持ちが先行し、相手の話をちゃんと聞いておらず、成熟した知的な態度とはいえません。(中略)
これらの態度は、相手のことを考えているようで自分のことを考えながら聞いているので、相手からは自己中心的に見えます。
頭のいい人が話す前に考えていること/安達裕哉著 ダイヤモンド社より
自分を振り返ってみると、残念ながら私は“教えてやろう”をやりがちです (^^;
年齢を重ねると経験値も溜まってくるので、かつて自分がつまずいた問題で後輩が悩んでいたりすると、つい、ここぞとばかりに自分の経験を披露しようとしてしまいます、反省 (^^ゞ
相手の言いたいことを考えながら聞く
それに対してちゃんと話を聞ける人は、余計な口を挟まず、”言いたい事は何だろうか”と考えながら、まずは相手の話を正確に理解しようとします。
(中略)
私は学生時代の恩師に「もし今、”人生がそれほどうまくいっていない”と思うなら、人の話をよく聞くだけで、人生は好転するよ」と教わりました。
頭のいい人が話す前に考えていること/安達裕哉著 ダイヤモンド社より
知的で慕われている人たちは、人の話をよく聞いています。
よし! 人の話をよく聞いて、人生好転させるぞー(笑)
知的で慕われている人の聞く態度
人生を好転させる、人の話をよく聞くための態度として、安達さんは次の5つを挙げています。
- 肯定も否定もしない
- 相手を評価しない
- 意見を安易に言わない
- 話が途切れたら、むしろ沈黙する
- 自分の好奇心を総動員する
私は普段から
少し苦手だな…。
と思っているお客様に、この「肯定も否定もしない」をやってみました。
そうすると、お客様はいつもよりたくさん、気持ちよく話されている様子でした。
効果絶大です!
実はこのお客様に対しては、そもそも苦手意識があるので、もちろん、真っ向から否定するようなことはしないのですが、肯定しても、なんだか「ゴマスリ」みたいに受け止められてしまうので、
もしかしたら、私のこと嫌いなのかな…。
ぐらいにネガティブに捉えていたのですが、単に私が「聞き下手」なだけだったようです。
嫌われてなくてよかったー (^-^;
まとめ
いやー、ためになる本でした。
「黄金法則」は、ここでは2つしか書いていませんが、全部で7つあります。
他にも「アドバイスするな、整理せよ」とか、「なぜできる人はすぐ電話してくる人を嫌うのか?」とか、
そうだよねー
と、腹落ちポイントが満載の一冊です (^-^)
1人でいるときは「ありのままの自分」、相手がいるときは「相手中心」でいることが、どうやら気持ちよく過ごせそうなので、残りの人生はコレで行こうと思います (^^)
安達裕哉さんの『頭のいい人が話す前に考えていること』は、日常のコミュニケーションを改善するための実践的なガイドブックです。
「話す前に考える」という基本的な行動を見直し、より知的で効果的な話し方を身につけたい方にお勧めです。
明日から、話すたびに頭が良くなるためのステップを、ぜひ本書から学んでみてください (^^)v
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